【忘れな草をあなたに】

忘れな草をあなたに:作詞:木下龍太郎、作曲:江口浩司、唄:梓みちよ/菅原洋一 昭和39年(1964)リリース。『さくら貝の歌』などと並ぶ抒情歌の不朽の名作といってよいでしょう。歌詞・メロディとも流麗で、今なお愛唱する人が数多くいます。  忘れな草は、初夏に紺碧色の花を咲かせるムラサキ科の一・二年草で、川辺や湿地でよく見られます(右の写真)。英語ではforget‐me-not、ドイツ語ではVergissmeinnichtといいますが、いずれも「私を忘れないで」という意味です。  この由来を説明する伝説がいくつもありますが、有名なのは次の伝説です。  ある若者が、ドナウの川辺で恋人のために珍しい青い花を摘み取ろうとしますが、崖から身を乗り出したとたん、足をすべらせて川に落ちてしまいました。最期の瞬間に、彼は少女に向かって、「僕のことを忘れないで」と叫び、急流に飲み込まれました。  残された少女は、若者の墓にその花を植え、彼の最期のことばを花の名にしたといいます。  下の短歌は、私の母の遺作の1つです。 コンクリートのしろき川辺に降る雨よ   勿忘草を探してをらむ  かつてサラサラ流れていた清流は、三面をコンクリートで塗り固められ、ただの用水路に変えられてしまいました。それでも、虐殺をまぬがれた川の縁では、今も野草がそれぞれの季節に可憐な花をつけています。